KPIがweb上、google analytics など計測ツールでは測れないものの対応

前回の記事では、それぞれのキャンペーン・LPの共通項目を洗い出したが、KPIがweb上、google analytics など計測ツールでは測れないものも多いと思う。

そういう時はwebディレクターとしてどういう判断、提案をするのが良いのか?を以前の記事「既存のページから逆算してみる「企画意図」「主要施策」「ビジネスゴール」「KPI(想定される)」をベースにして考えます。

「KPIがWebだけでは測れない」状況は、まさにWebディレクターの腕の見せ所。

結論から言うと、“測れないからやらない”ではなく、「何が測れないかを明確にし、代替指標と意思決定ルールを設計して合意を取る」

これがプロとして最も評価される判断・提案になります。
以下、実務でそのまま使える考え方と提案フレームを整理します。

① まずやるべき判断:KPIを3階層に分解する

KPIを「測定手段」で切り分ける。Webディレクターはまず、KPIをこう整理します。

レイヤー
例:GAで測れる?

① Web行動KPI
PV、CTR、応募ボタン到達率 ◎
② Web起点KPI
キャンペーン参加意欲、商品理解度 △(間接)
③ ビジネスKPI
来店数、POS売上、購買頻度 ✕

「GAで測れないKPIがある」のは異常ではなく、正常。問題は「③を②①でどう代替評価するか」を設計しないこと。

② Webディレクターとしての正しい提案スタンス

❌ NGな姿勢

「これはWebでは測れません」
「GAでは無理なので判断できません」
「POSデータがないので評価不可です」

✅ 評価される姿勢

「直接は測れませんが、判断材料としてこの指標を見ます」
「今回は“成功条件”を事前に定義しましょう」
「次回改善のために、このログだけは残しましょう」

③ よくあるケース別・判断と提案の仕方

ケース① 来店・購買が最終ゴールのキャンペーン(ちいかわ等)

課題
来店数・売上はGAで測れない

Webディレクターの提案:Webは「購買の前段評価」に割り切る
<代替KPI設計例>
目的:Web上の判断指標

興味喚起
LP滞在時間/スクロール率
行動意欲
応募方法セクション到達率
参加意思
キャンペーン詳細PV
熱量
再訪率・直帰率低下

提案時の言い方(そのまま使える)

「今回はWebは“購入直前の温度感”を見る役割です。
 売上そのものではなく、参加意欲が十分に作れたかを成功条件にしましょう」

ケース② 値引き・セール系(ブリトー)

課題
値引き効果はPOSでしか分からない

Webディレクターの判断:Webは「告知到達率」と「理解率」を測る
<見るべき指標>

LP到達数(告知が届いているか)
セール内容の視認率(ファーストビュー)
注意事項まで読まれているか
成功ラインの事前定義(重要)
「PVが通常商品ページの◯倍以上
 直帰率が◯%以下なら“告知として成功”と判断」

ケース③ 外部サイト・応募フォーム連携(TikTokギフトカード)

課題
途中から別ドメインで追えない

Webディレクターの提案
<「分断前後」を分けて評価する>

評価設計
自社LP:送客KPI(遷移率)
外部LP:主催側KPI(登録数)

言語化例
「Webディレクターの責任範囲は“正しく送客できているか”。 その先は別指標で評価しましょう」

④ 「測れないKPI」がある時に必ずやる3つの合意

① 成功条件を“数字でなく状態”で合意
例:
「社内で説明できる材料が揃っている」
「ユーザーが迷わない構成になっている」

② 判断に使う代替指標を事前に宣言
「今回はCVではなく◯◯を見ます」
「この数字が出たら次回継続判断」

③ 次回のために“取れるログ”を増やす提案
ボタンクリックイベント
スクロール計測
外部遷移クリック

⑤ Webディレクターとして一段上に行く視点

KPIは「測るためにある」のではなく「判断するためにある」
測れない → ❌
判断できない → 本当の問題

だからこそWebディレクターは

「測れない現実」を前提に、意思決定できる設計を出す役割です。

次回は、できるだけ汎用的に使えそうな「webの役割定義マップ」を考えようと思います。

コメント

このブログの人気の投稿

既存のページから逆算してみる「企画意図」「主要施策」「ビジネスゴール」「KPI(想定される)」

優秀なwebディレクターがgoogle analyticsでよく使う、使える機能、チェックする項目

既存のページから逆算してみる共通の「構成」「目的」「技術ポイント」